ここでは、勉強が得意な小学生が中学生になる前から学習を開始する場合のプランを提示します。
前提となる考え方は次の通りです。
- 受験のためだけではなく、将来的に英語を使えるようになるベースを作ることを目的とする。このため、読み書きだけでなく、発音練習や音読も行う。
- 中学生のうちに高校レベルの学習を行い、英検2級の取得をひとつの目標とする(英検2級は高校卒業レベルにあたる。中学生のうちにこのレベルに達することで、高校生の間に1級=大学上級レベルを目指せるようになり、大学受験に有利になる)。
- 上記を行うことにより、高校受験時の英語力は相当高いものになる。
小5の最初からスタートするプランとしていますが、スタート時期に応じてスケジュールは調整してください。
① 中1英語をひとつひとつわかりやすく。
英語学習のスタートは、「中1英語をひとつひとつわかりやすく。」を使います。この教材は見開きの左ページに解説、右ページに問題が掲載されており、本の構成が分かりやすいです。また、学ぶ内容も基礎中の基礎になるため、非常に取り組みやすい教材になります。
勉強が得意とは言え、これまで習っていない英文法を小学生が塾なしで学習することはそれなりにハードルが高いと思います。このため、簡単な教材を使って英語になじむことを目的とします。
左ページの解説を一読し、右ページの問題を解くことになりますが、当サイトでは以下の使い方を推奨します。
- 各学習の最初に、前回の内容を親子で一緒に振り返る。
- 新たに学習する内容については、親が一緒に左ページの解説を読み、書いてあることをお子さんと認識合わせする。
- 解説を読んだ後は右ページの問題をお子さんが解くが、この時はテキストのどこを見てもよいとする(章の最後にある復習テストも自力ではなくて、どこを見てもよい)。
- 英語になじむことが目的なので、出来の良し悪しを問わない。
1週間に見開き2ページくらいのペースで進めれば、7~8か月程度で一通り終わらせることができると思います。このため、週末に30分~1時間程度の学習を継続して行い、英語に慣れ、そして学習習慣がつくようになれば良いと思います。
このテキストを繰り返し使ってもよいのですが、このプランでは使いません。このため、テキストの書き込みも可です(このプランに捉われずに復習される場合は、ノートなどを用いてください)。
また、この段階では文法の細かい理解を求めません(だいたい分かればよいレベルとします)。文法の理解は⑫の「大岩のいちばんはじめの英文法」で行います。
学習当初は、お子さんがひとりで学習を進めることが難しいと思います。このため、親が一緒に取り組むことを提案しています。大人の方々に先生役を求めるものではありません。一緒に取り組むことで、お子さんの学習のベースを作ることが目的であり、そのためのサポートをお願いしたいと思います。
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② 中2英語をひとつひとつわかりやすく。
③ 中3英語をひとつひとつわかりやすく。
①の「中1英語をひとつひとつわかりやすく。」を終了後、順に「中2英語をひとつひとつわかりやすく。」と「中3英語をひとつひとつわかりやすく。」を使用します。使用方法は「中1英語をひとつひとつわかりやすく。」と同じです。
注意点があります。中2範囲と中3範囲に単元が重複するものがあります(「現在完了形」)。これについては③の中3英語で学習すればよいと思います(中3のほうが、若干ページ数が多いです)。
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④ 英語耳 発音ができるとリスニングができる
「英語をひとつひとつわかりやすく。」シリーズをある程度進めた後、「英語耳」を使用して発音練習に取り掛かります。本書は正しい英語の発音を学ぶ教材になりますが、本書のねらいとして著者の松澤 喜好さんは「この本のねらいは、英語のリスニングの完全マスターです。」と書いていらっしゃいます。と言うのも、英語で使用する音は日本語で使用する音より多く、私たち日本人からすると普段使用しない音がたくさんあります。そして、このような音を聞くと、私たちは知っている別の音に変換してしまうそうです。このため、日本人は英語を正確に聞き取ることが苦手です。この対策として、正しい発音を身につける必要があります。それは、松澤さんの言葉を借りると、「自分の口から出せる音は、容易に聞き取ることができる」からです。
学習は、本書の先頭から順に記載通りに進めます。ただし、本書の記載通りに最後まで進めてもよいのですが、本プランでは第6章の「ステップ1 歌を使った練習」まで行います。その後の内容は、⑧⑨⑮の「速読英単語」を使うことで近しいことを行うためスキップしてもよいとしました。
推奨する使用方法は次の通りです。
- 発音が大切であることを親子ともに認識する。
- 親子が一緒に本書を読み、一緒に発音練習を行う(メインはお子さんですが、ひとりで行うと挫折する可能性が高いので、一緒に練習し挫折しないようにする)。
- 本書を読んでも発音方法が分かりづらい場合は、インターネットで発音を解説している動画などを観て参考にする。
- 完全にマスターすることにはこだわらない(本書の学習期間で完全にマスターすることは難しいと思います。その後の人生を通じて、英語の発音に気を付けるというベースができればいいと思います。ただし、それぞれの発音を1回だけ実施するのは少ないため、最低でも3回は実施すべきでしょう)。
1週間で30分~1時間程度の時間を使えば、1年間あれば余裕をもって進めることができると思います。ただし、最後に行う第6章の「ステップ1 歌を使った練習」については、短時間でもいいので極力毎日行い、1か月程度で終わらせる進め方がよいと思います。
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⑤ 中1英語をおさらいして話せるようになる本
この教材では、中1で学ぶ文法を使った英文を暗記します。このため、①の「中1英語をひとつひとつわかりやすく。」を終わらせるか、ある程度進めた後にスタートするのがよいでしょう。「英語をひとつひとつわかりやすく。」シリーズは英語になじむことを目的に使用しており、そんなに文法の理解ができていないかと思いますが問題ありません。この教材で英文を暗記し、多くの英文をストックすることで、その後の⑫「大岩のいちばんはじめの英文法」に取り掛かるベースを作ります。多くの英文をストックした状態で⑫を行うことにより、文法の理解を数段楽に行えるようになります。
本教材は大人向けのものとして出版されていますが、子どもが使用しても問題ありません。難しい言葉や概念が出るわけではなく、むしろ一般生活で使用する単語やフレーズの英文が掲載されており、その点でも好ましい教材です。
教材の中身は、ひとつのレッスン内に、はじめに文法の説明があり、その後に10個の日本語の文章と英文が掲載されています。文法の説明は読んでも読まなくてもいいです。このプランでは、10個の英文を暗記します。日本語を読んで、英文を言えるようになることを目指しましょう。
推奨する使用方法は次の通りです。
- 一定の期間に一定の英文を暗記する計画をたてる(例えば、1週間に10英文など)。
- 暗記したかどうかのチェックは親が行う(例えば、親が日本語を読み、それをお子さんが英文にするなど。ただし、お子さんが自分でできそうなら、親はやらなくてもよいと思います。)
- 音声をダウンロードまたはスマホアプリで聞くことができるので、英文をひととおり聞いた上で暗記する。
- 暗記の際は、声に何回も出してみる。
- 英文がどうしてそういう構成になるのか分からず暗記ができない場合は、本教材の文法の説明や「英語をひとつひとつわかりやすく。」シリーズで文法を確認する。
34レッスンあるので、1週間に1レッスン(10英文)のペースで行えば、9か月程度で終わらせることができると思います。
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⑥ 中2英語をおさらいして話せるようになる本
⑦ 中3英語をおさらいして話せるようになる本
⑤「中1英語をおさらいして話せるようになる本」を終了後、順に「中2英語をおさらいして話せるようになる本」と「中3英語をおさらいして話せるようになる本」を使用します。使用方法は「中1英語をおさらいして話せるようになる本」と同じです。
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⑧ 速読英単語 中学版
この教材のシリーズは、有名な大学受験向けの英単語教材のひとつです。その中学版になります。英文が掲載されており、その中から覚えるべき単語がピックアップされています。本教材のよいところは、単に単語暗記をするのではなく、英文を読む訓練も行えることです。
本教材を使って単語の暗記を行うのはもちろんですが、本プランでは音読などを行い、英語の総合力をつけていきます。
推奨する使用方法は次の通りです。
- 音声をスマートフォンなどで聞くことができるので、音声を聞いたうえで音読を行う。
- 音読する場合は、「英語耳」で学んだ正しい発音に注意する。
- 音読だけでなく、黙読やリスニングも取り入れる。
- 知らない単語が出てきたら暗記する(なるべく、本文を読むことで覚えてしまう。本文に出てこない単語のピックアップもあるので取りこぼしに注意)。
この教材を使用する段階になると、基本的にはお子さんがひとりで学習することを想定しています。
以下のようないろいろなパターンを行うことで、飽きないようにすることも大切です。
- 一文ごとに音読を行う(一文聞いたら音声を止めて行う)。
- オーバーラッピング(テキストを見ながら音声を聞き、音声に少し遅れて発声する)を行う。
- シャドーイング(テキストを見ずに音声を聞いて、聞いた内容を発声する)を行う。
- リスニングを行う。
- 黙読を行う。
何を何回やればよいということは言えませんが、やりすぎると疲れてしまい継続できない可能性もあります。継続できる範囲で地道に行うことがよいと考えます。
また、ある程度時間がたったら2周目を行うことも効果的だと思います。
60の英文があるので、1週間に1英文とし、学校の休暇(夏季など)の期間は多めにすることで、1年程度で終わらせることができると思います。
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⑨ 速読英単語 入門編
大学受験向けの「速読英単語」シリーズは、入門編、必修編、上級編がありますが、本教材はその最初のものになります。レベル的には大学入学共通テストまでになります。
使い方は⑧「速読英単語 中学版」と同じです。高校レベルのものであり、英文数も68と中学版よりも増えているため中学版に比べて難しいと思いますが、中学版をクリアする根気があれば、この教材にも太刀打ちできると思います。
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⑩ キクジュク【中学英熟語】
「速読英単語」シリーズでは単語のインプットも行いますが、語彙力強化として熟語の対策も必要です。本プランでは「キクジュク」シリーズを使用します。「キクジュク」シリーズは、中学英熟語、Basic、Superがありますが、まずは中学レベルを攻略します。
推奨する使用方法は次の通りです。
- 日本語を見て、英熟語が言えるようにする(暗記する)
スマートフォンアプリを利用して音声を聞くことができますが、音声は聞いても聞かなくてもよいと思います(音声を使った学習は「速読英単語」や「中●英語をおさらいして話せるようになる本」で行っているため)。
熟語数は416あります。本教材には、1日16熟語で4週間でマスターと書いてありますが、半年くらいの期間で対応すればよいかと思います。
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⑪ キクジュク【Basic】
本教材は「キクジュク【中学英熟語】」の次に取り組みます。レベル的には高校初級レベル~大学入試(中堅私大レベル)になります。
使い方は⑩「キクジュク【中学英熟語】」と同じです。熟語数は784あります。本教材には、1日16熟語で7週間でマスターと書いてありますが、1年くらいの期間をかけてもよいと思います。
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⑫ 大岩のいちばんはじめの英文法【超基礎文法編】 および スクランブル英文法・語法 Basic
ここでは2つの教材をセットで使用します。「大岩のいちばんはじめの英文法【超基礎文法編】」と「スクランブル英文法・語法 Basic」です。
「大岩のいちばんはじめの英文法」は高校レベルの英文法を非常に易しく説明してくれる良書です。このプランでは、ここで英文法の理解を固めます。「中●英語をひとつひとつわかりやすく。」や「中●英語をおさらいして話せるようになる」を使って学んできたインプットがここで生きてきます。
推奨する使用方法は次の通りです。
- 先頭から読み進め、記載内容を理解する。
- 読んだ内容を他者に説明できるようになる。
他者に説明できるようになるということが大切です。理解できていないと他者に説明することはできません。つまりは、ほぼほぼ理解できたということの証明として、他者に説明するということを課します。このため、お子さんがひとりで取り組んでもよいのですが、親御さんに余裕があればこの教材については、聞き役としてサポートをしてあげてほしいと思います。
そして、もうひとつの「スクランブル英文法・語法 Basic」ですが、これは「大岩のいちばんはじめの英文法」で学んだ内容に該当する文法項目について取り組みます。文法項目ごとに複数の問題が用意されているので、自分で問題を解き、回答・解説を確認し、理解を深めます。例えば、「大岩のいちばんはじめの英文法」で受動態を学んだら、その後に「スクランブル英文法・語法 Basic」の受動態を取り組むという形です。
推奨する使用方法は次の通りです。
- 正しく理解をして正解を導き出せるまで、何回も繰り返し問題に取り組む(理解した問題は繰り返して確認する対象から除いていく)。
- 時間をおいて2周目、3周目を行い、定着させる。
2周目、3周目をどのくらいの時間をあけて行うのかはケースバイケースです。スケジュール上は1年程度の期間としていますが、2周目までを1年程度で行い、その後も継続して3周目に取り組んでもよいと思います。
また、「スクランブル英文法・語法 Basic」には英文法以外の項目(語彙に関する項目)があり、「大岩のいちばんはじめの英文法」と項目が合わない箇所があると思います。そのため、「大岩のいちばんはじめの英文法」とそれにマッチする「スクランブル英文法・語法 Basic」を進めた後で、残った項目も残さずに取り組むように注意してください。
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なお、「大岩のいちばんはじめの英文法【超基礎文法編】」には似たような名称の「大岩のいちばんはじめの英文法【英語長文編】」がありますので注意してください。
また、「スクランブル英文法・語法 Basic」には、上位版の「スクランブル英文法・語法」がありますので、こちらも注意してください。
⑬ 英検2級対策
高校レベルの学習まで進めてきましたが、ここで英検2級の対策を集中して行うことで英語力のさらなる向上を図ります。英検は通常、第1回の一次試験が6月、二次試験が7月、第2回の一次試験が10月、二次試験が11月、第3回の一次試験が1月、二次試験が3月に行われます(詳しい日程は公式ホームページをご確認ください)。
このうち、第1回のタイミングでの資格取得を目指します。
使用する教材は2つ、旺文社の「英検2級 でる順パス単」と「英検2級 過去6回全問題集」です。
まずは「パス単」で英検2級に頻出の単語および熟語をインプットします。これまでの学習で高校レベルの単語・熟語を学んでいるので、知っているものが多いと思います。そこで、知っている単語・熟語と知らないものを選別し、知らない単語・熟語を集中的に覚えてしまいます。これにより、受験に向けた語彙力の向上も図れます。
「パス単」と並行してもいいですし、「パス単」を終わらせてからでもいいのですが、「過去問」を用いて英検の出題形式に慣れ、かつ英語問題に取り組むことにより英語力を向上させます。
可能であれば6回分の過去問について、2回転以上することをお勧めします。
まずは一次試験の突破を目指し「パス単」と一次試験の対策を行ってください。一次試験が終わったあとで、二次試験の対策に入ればよいかと思います。
英検2級に関する情報はインターネットなどを通じて取得できると思いますので、ここでは詳しいことは割愛します。
第1回に間に合わない場合や第1回で合格できなかった場合、第2回または第3回でチャレンジするかどうかは、その時の状況によって異なると思います。ご自身の状況を考慮の上、受検するかどうかをご検討ください。
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※過去問は最新版が刊行されているかもしれないので、ご注意ください。
⑭ 過去問および模試
本プランでは基礎から開始し、高校レベルの学習まで進めてきましたが、高校受験向けの総仕上げとして過去問と模試を活用した学習を行います。
まずは過去問ですが、受験を予定または検討している高校の過去問を使用します。自分で解き、間違えた問題については解説を確認して理解しましょう。過去何年分やるべきかは残された期間、受験予定の高校数、他教科との兼ね合いなどあるので一概には言えませんが、志望順位の高い高校ほど多くの年次を行ってください。何年分やるかよりもこちらの方が大事なのですが、1度のみ解くのではなくて、2~3回解くことをお勧めします。また、2回、3回解いても間違える問題については、そのような問題を集めたノートを作成してもよいかと思います。何度も間違える問題は弱点ですので、そのノートを繰り返し確認することで弱点克服につながります。
中3になると受験本番に向けて模試を受けると思います。模試の結果に一喜一憂するかと思いますが、模試を受けたら必ず復習をしてください。間違えた問題については、次に同じ問題が出たときに間違わないようにすることが大切です。また、過去問の箇所でも書きましたが、再び間違えそうな問題(自信のない問題)についてはノートを作成し、繰り返し復習するというアプローチもよいかと思います。
⑮ 速読英単語 必修編
最初に断っておきます。本教材をプランに記載はしましたが、これは余力があるか、中学生の間に更にレベルアップをしておきたいという場合に取り組めばよいかと思います。
本教材は「速読英単語」シリーズの入門編の次のものになります。本教材(必修編)の上位版である上級編が東大・京大・早慶上智レベル向けなので、この必修編はそこまで行かないまでも、上位大学を目指す人も使用するものであり、中学生にとっては十二分にレベルの高いものになります。
使い方は既出の「速読英単語」シリーズと同じです。
繰り返しになりますが、受験に向けて他教科の学習も必要になります。バランスを考慮して、できる場合またはどうしてもやりたい場合に取り組めばよいかと思います。
ただし、本教材をやらない場合、継続して生の英語に触れる機会を設けるため、「速読英単語 入門編」を引き続き使用して音読やリスニングを行うことを推奨します。
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