ここでは、勉強が普通な子が中学生に入ってから英語を学習するプランを提示します。
前提となる考え方は次の通りです。
- 受験のためだけではなく、将来的に英語を使えるようになるベースを作ることを目的とする。このため、読み書きだけでなく、発音練習や音読も行う。
- 中学生の間に中学生の内容をしっかり身に着け、英検3級の取得をひとつの目標とする(英検3級は中学卒業レベル)。
中学生に入ってから開始のため英検3級を目指すとしていますが、もう少し頑張って英検準2級にチャレンジしてもよいと思います。
① チャート式シリーズ 中学英語1年 および チャート式シリーズ 中学英語1年 準拠ドリル
英語学習の最初は、「チャート式シリーズ 中学英語」を使って英文法を丁寧に学んでいきます。文法の解説があり、その後に確認問題があるので、解説を読み確認問題を解きましょう。確認問題は、分からない場合は解説を確認して解くようにしましょう。また、章の終わりの「要点のまとめ」は目を通して学んだ内容を再確認し、「定期試験対策問題」は自力で解いてみましょう。
ひとつの章が終わったら、「準拠ドリル」の対応する箇所を自力で解きます。間違えた問題は確認し、きちんと理解しましょう。
上記のやり方に加え、本教材に例文として出ている英文を暗記するということもしましょう。表紙の裏に例文一覧があります。それを活用し、日本語を見て英文が言えるようにします。例文を暗記してしまうことで、文法の理解を確固なものとします。
中学入学初期は環境の変化などがあるので、ゆっくりで構わないかもしれませんが、徐々にペースを上げ、中1範囲を9か月程度で終わらせられるとよいと思います。
小5から英語学習を開始するプランでは、最初は親が一緒に取り組むことを推奨していますが、このプランでは中学生ですので、どこまで親が関与すべきかはお子さんの状況を見て判断してください。波に乗るまでは、横についてお子さんが取り組んでいる様子を見るということも効果があると思います(お子さんが嫌がる場合は、逆効果かかもしれませんが)。
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② チャート式シリーズ 中学英語2年 および チャート式シリーズ 中学英語2年 準拠ドリル
③ チャート式シリーズ 中学英語3年 および チャート式シリーズ 中学英語3年 準拠ドリル
①の中1範囲終了後、順に②の中2範囲、③の中3範囲を進めます。学習方法は①の中1範囲と同じです。
実施時期の目安は、②の中2範囲を半年程度、③の中3範囲を9か月程度とし、中2終了までに完了することを目指します。
注意点があります。中2範囲と中3範囲に単元が重複するものがあります(「受け身の文」と「現在完了形」)。これらについては中2か中3のどちらかで学習すればよいです。
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④ 英語耳 発音ができるとリスニングができる
「チャート式 中学英語」と並行して、中学の最初から「英語耳」を使用して発音練習を行います。本書は正しい英語の発音を学ぶ教材になりますが、本書のねらいとして著者の松澤 喜好さんは「この本のねらいは、英語のリスニングの完全マスターです。」と書いていらっしゃいます。と言うのも、英語で使用する音は日本語で使用する音より多く、私たち日本人からすると普段使用しない音がたくさんあります。そして、このような音を聞くと、私たちは知っている別の音に変換してしまうそうです。このため、日本人は英語を正確に聞き取ることが苦手です。この対策として、正しい発音を身につける必要があります。それは、松澤さんの言葉を借りると、「自分の口から出せる音は、容易に聞き取ることができる」からです。
学習は、本書の先頭から順に記載通りに進めます。ただし、本書の記載通りに最後まで進めてもよいのですが、本プランでは第6章の「ステップ1 歌を使った練習」まで行います。その後の内容は、⑤⑧の「速読英単語」を使うことで近しいことを行うためスキップしてもよいとしました。
推奨する使用方法は次の通りです。
- 発音が大切であることを認識する(発音が大切であることは、親御さんが一緒にお子さんと認識してあげてほしいです)。
- 本書を読んでも発音方法が分かりづらい場合は、インターネットで発音を解説している動画などを観て参考にする。
- 完全にマスターすることにはこだわらない(本書の学習期間で完全にマスターすることは難しいと思います。その後の人生を通じて、英語の発音に気を付けるというベースができればいいと思います。ただし、それぞれの発音を1回だけ実施するのは少ないため、最低でも3回は実施すべきでしょう)。
1週間で30分~1時間程度の時間を使えば、1年間あれば余裕をもって進めることができると思います。ただし、最後に行う第6章の「ステップ1 歌を使った練習」については、短時間でもいいので極力毎日行い、1か月程度で終わらせる進め方がよいと思います。
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⑤ 速読英単語 中学版
この教材のシリーズは、有名な大学受験向けの英単語教材のひとつです。その中学版になります。英文が掲載されており、その中から覚えるべき単語がピックアップされています。本教材のよいところは、単に単語暗記をするのではなく、英文を読む訓練も行えることです。
本教材を使って単語の暗記を行うのはもちろんですが、本プランでは音読などを行い、英語の総合力をつけていきます。
推奨する使用方法は次の通りです。
- 音声をスマートフォンなどで聞くことができるので、音声を聞いたうえで音読を行う。
- 音読する場合は、「英語耳」で学んだ正しい発音に注意する。
- 音読だけでなく、黙読やリスニングも取り入れる。
- 知らない単語が出てきたら暗記する(なるべく、本文を読むことで覚えてしまう。本文に出てこない単語のピックアップもあるので取りこぼしに注意)。
以下のようないろいろなパターンを行うことで、飽きないようにすることも大切です。
- 一文ごとに音読を行う(一文聞いたら音声を止めて行う)。
- オーバーラッピング(テキストを見ながら音声を聞き、音声に少し遅れて発声する)を行う。
- シャドーイング(テキストを見ずに音声を聞いて、聞いた内容を発声する)を行う。
- リスニングを行う。
- 黙読を行う。
何を何回やればよいということは言えませんが、やりすぎると疲れてしまい継続できない可能性もあります。継続できる範囲で地道に行うことがよいと考えます。
60の英文があるので、1週間に1英文とし、学校の休暇(夏季など)の期間は多めにすることで、1年程度で1周目を終わらせることができると思います。
そして、その後は2周目を継続して行うことをお勧めします。
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⑥ キクジュク【中学英熟語】
「速読英単語」シリーズでは単語のインプットも行いますが、語彙力強化として熟語の対策も必要です。本プランでは「キクジュク」シリーズを使用します。「キクジュク」シリーズは、中学英熟語、Basic、Superがありますが、中学レベルを攻略します。
推奨する使用方法は次の通りです。
- 日本語を見て、英熟語が言えるようにする(暗記する)
スマートフォンアプリを利用して音声を聞くことができますが、音声は聞いても聞かなくてもよいと思います(音声を使った学習は「速読英単語」で行っているため)。
熟語数は416あります。本教材には、1日16熟語で4週間でマスターと書いてありますが、1年かけてじっくりと対応すればよいかと思います。
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⑦ 英検3級対策
中学範囲の学習を着実に進めてきましたが、ここで英検3の対策を集中して行うことで英語力のさらなる向上を図ります。英検は通常、第1回の一次試験が6月、二次試験が7月、第2回の一次試験が10月、二次試験が11月、第3回の一次試験が1月、二次試験が3月に行われます(詳しい日程は公式ホームページをご確認ください)。
このうち、第1回のタイミングでの資格取得を目指します。
使用する教材は2つ、旺文社の「英検3級 でる順パス単」と「英検3級 過去6回全問題集」です。
まずは「パス単」で英検3級に頻出の単語および熟語をインプットします。これまでの学習で中学レベルの単語・熟語を学んでいるので、知っているものが多いと思います。そこで、知っている単語・熟語と知らないものを選別し、知らない単語・熟語を集中的に覚えてしまいます。これにより、受験に向けた語彙力の向上も図れます。
「パス単」と並行してもいいですし、「パス単」を終わらせてからでもいいのですが、「過去問」を用いて英検の出題形式に慣れ、かつ英語問題に取り組むことにより英語力を向上させます。
可能であれば6回分の過去問について、2回転以上することをお勧めします。
まずは一次試験の突破を目指し「パス単」と一次試験の対策を行ってください。一次試験が終わったあとで、二次試験の対策に入ればよいかと思います。
英検3級に関する情報はインターネットなどを通じて取得できると思いますので、ここでは詳しいことは割愛します。
第1回に間に合わない場合や第1回で合格できなかった場合、第2回または第3回でチャレンジするかどうかは、その時の状況によって異なると思います。ご自身の状況を考慮の上、受検するかどうかをご検討ください。
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※過去問は最新版が刊行されているかもしれないので、ご注意ください。
⑧ 過去問および模試
本プランでは基礎から開始し、中学レベルの学習を着実に進めてきましたが、高校受験向けの総仕上げとして過去問と模試を活用した学習を行います。
まずは過去問ですが、受験を予定または検討している高校の過去問を使用します。自分で解き、間違えた問題については解説を確認して理解しましょう。過去何年分やるべきかは残された期間、受験予定の高校数、他教科との兼ね合いなどあるので一概には言えませんが、志望順位の高い高校ほど多くの年次を行ってください。何年分やるかよりもこちらの方が大事なのですが、1度のみ解くのではなくて、2~3回解くことをお勧めします。また、2回、3回解いても間違える問題については、そのような問題を集めたノートを作成してもよいかと思います。何度も間違える問題は弱点ですので、そのノートを繰り返し確認することで弱点克服につながります。
中3になると受験本番に向けて模試を受けると思います。模試の結果に一喜一憂するかと思いますが、模試を受けたら必ず復習をしてください。間違えた問題については、次に同じ問題が出たときに間違わないようにすることが大切です。また、過去問の箇所でも書きましたが、再び間違えそうな問題(自信のない問題)についてはノートを作成し、繰り返し復習するというアプローチもよいかと思います。